新しい片頭痛治療薬について(ナルティーク)
背景
2025年9月、片頭痛の新しい治療薬「ナルティーク」が製造販売承認されました。片頭痛の治療薬には、頭痛を止めるための急性期治療薬と、頭痛を出にくくする予防薬があります。今回の新しい治療薬は、急性期治療薬としても、予防薬としても使用できるお薬です。
片頭痛が起こる際には、様々な痛み物質が放出されますが、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、主要な原因物質と考えられています。CGRPは、顔面や頭部の知覚神経である三叉神経に存在しますが、片頭痛発作時には過剰に発現します。過剰なCGRPは、血管を拡張させ、痛み物質を産生し、片頭痛を引き起こします。また、痛みを感じ易くする作用もあります。
新しい治療薬のメカニズムと効果・安全性
新しい予防薬は、このCGRPをブロックすることで片頭痛を予防します。これまで、CGRPをブロックする予防薬は全て注射薬でした。イーライリリー社からはエムガルティ、大塚製薬からはアジョビ、アムジェン社からアイモビークがあります。ナルティークは、4番目のお薬になります。
ナルティークの大きな特徴は、内服薬であることと、急性期治療薬としても、予防薬としても効果があることです。
急性期治療薬としては、頭痛消失や軽減に有効であることが示されました。頭痛消失は、32%の患者さまにみられました。
予防薬としては、月に9.2日あった片頭痛が2.4日減ることが示されました。
急性期治療薬としても、予防薬としても、死亡に至るような重篤な副作用はみられませんでした。かなり安全性の高いお薬と考えられています。
実際のお薬の使用方法
急性期治療薬としては、片頭痛発作時に1錠服用します。
予防薬としては、隔日(2日に1錠)服用します。
ナルティークは口腔内崩壊錠(OD錠)です。水無しでの服用が推奨されます。