パーキンソン病
神経疾患の中でもお薬の反応が良い疾患


 パーキンソン病は、脳の中脳にある黒質神経細胞が変化してしまう疾患です。このため、黒質で作られるドーパミンという物質がすくなくなり、パーキンソン病の症状がみられるようなります。症状で多いのは、じっと安静にしているときに見られる振戦、他の人が手を動かそうとすると筋肉が固くなる筋強剛、動作がゆっくりになったり動かなくなる無動・寡動、小刻みに歩いたり転倒しやすくなる姿勢反射障害があります。この振戦、筋強剛、無動・寡動、姿勢反射障害は、特徴的な運動症状で四徴といわれますが全ての症状が揃わないこともあります。また、運動症状以外にも、便秘、起立性低血圧、幻覚、レム期の睡眠障害などの非運動症状もよくみられます。
 
症状と治療について
 治療は、まず第一に、不足しているドーパミンの補充です。L-ドーパというお薬ですが、これが基本のお薬になります。効果がかなり高いため、数十年もの間、パーキンソン病の治療の中心となっています。また、L-ドーパ以外にもいろいろと効果の高いお薬が出てきています。L-ドーパと組み合わせて、パーキンソン病の様々な症状の改善を目指していきます。パーキンソン病はおおよそ月単位で少しずつ変化してきますので、それに併せて外来ではお薬を調整していきます。
 パーキンソン病の治療では、お薬の調整が大切ですが、それ以外にもさまざまな工夫で生活をよい状態に維持する事ができます。例えば、L-ドーパの効果が出にくくなったら食後ではなく食前に内服することもあります。また内服の回数が多くなってきたら一日分をあらかじめ水に溶かしておいて、ペットボトルにいれて分けて飲む事で服薬をしやすくする工夫もあります。自宅でのストレッチは姿勢を維持するために重要ですし、床につける目印も歩行を容易にします。
 病状にもよりますが、お薬が効かない時間(ウェアリングオフ)が増えてきた場合には、脳にペースメーカーをいれる脳深部刺激療法という治療もあります。また最近は磁気刺激治療も効果が出てきています。
 
行政からの支援について
 パーキンソン病では、経過中に少しずつお薬が増えてきて、患者さんの費用負担も多くなりがちです。このためパーキンソン病の治療には、普段私たちが利用している医療保険制度の他に、特定疾患医療費助成制度や介護保険制度、身体障害者福祉など行政からの支援があります。
 
 
 パーキンソン病は、お薬での治療が中心となりますが、内服や生活の工夫で過ごしやすさはかなり変わります。また新しいお薬や治療法も出てきています。行政支援なども受けながら、ゆっくりと腰を落ち着けて治療をしていくと良い疾患です。