顔面・まぶたのけいれん
内服やボトッックス、手術の治療方法があります


 顔面・まぶたのけいれんは、おおよそ3つ疾患があり、ミオキミア、眼瞼けいれん、そして顔面けいれんです。
 
ミオキミア
 顔面部分のけいれんは、比較的身近なものです。最もよく見られるのは、まぶたの下のけいれんです。まぶたの下が小刻みにピクピクしますが、その場所に限局しています。目が閉じてしまったり、口まで広がることはありません。これはミオキミアといって、健常者でもストレスや疲労などでよくみられます。自然に軽快することが多いので、最初は経過の観察をしていきます。
 
眼瞼けいれん
 両方のまぶたが閉じてしまうようなけいれんは、眼瞼けいれんといいます。お薬で治療をしていきますが、症状が強くて目が開きにくい場合には、ボトックス治療を行います。ボトックス治療は、けいれんを起こしている筋肉にボトックスを注射する治療です。末梢神経より筋肉を収縮させるアセチルコリンという物質をブロックして、筋肉のけいれんを治療します。治療を行うと翌日ころから効果が出始めて、おおよそ3-4ヶ月持続します。効果がなくなれば、患者様のご希望に応じて、再度治療を行います。
 
顔面けいれん
 片側のまぶたが閉じてしまう場合は、顔面けいれんです。同じ側の頬や口にもけいれんがあることが多いです。顔面けいれんは、ストレスや疲れなどで強くなりやすいです。顔面けいれんの原因は、顔面神経が血管に圧迫されていることと考えられています。顔面神経は脳幹の橋から出て、内耳道をとおり下顎の付け根の辺りにでます。この顔面神経が脳幹から出てくるところで、血管による圧迫をうけると顔面けいれんをおこしやすくなります。実際、MRI検査では顔面神経を圧迫している血管を観察することができます。少ないですが、腫瘍や血管も顔面けいれんの原因となっている事があります。
 治療は、内服、ボトックス、そして手術があります。一番はじめには、お薬の内服で治療を開始します。症状が軽度であるとお薬も効果的ですが、症状が強いとお薬が多めに必要になります。顔面けいれんのお薬は基本的には抗不安薬や抗てんかん薬を使用するため、お薬が多くなると眠気や体のだるさなどの副作用がみられるようになります。このような場合には、ボトックス治療がよい適応になります。ボトックス治療によりお薬の量を減らすことができますし、また、ボトックス治療を単独で行う事もできます。眼瞼けいれんと同じく、効果はおおよそ3-4ヶ月持続します。ボトックス治療でもよい治療効果が見られない場合には、手術を検討します。手術は、"神経血管減圧術"といいます。これは開頭手術で、顔面神経を圧迫している血管を移動させたり、あるいは顔面神経と血管の間にクッションをいれたりします。いずれも、顔面神経への圧迫を取り除くことを目的としています。
 
 クリニックでは、顔面・まぶたのけいれんがみられた場合には、CTあるいはMRIで脳卒中や脳腫瘍などの頭蓋内疾患が無いことを確認します。それから、それぞれの疾患にあった治療を行う方針としています。クリニックでは内服からボトッックス治療まで可能です。