慢性硬膜下血腫
脳神経外科の手術では一番多い


 慢性硬膜下血腫は脳を覆っている硬膜と脳の間にゆっくりと血液が貯留する病気です。この血腫はうすい被膜に覆われていて、ゆっくりと1か月くらいかけて大きくなります。小さなうちは症状はほとんどありませんが、大きくなるにつれてゆるやかに進行する頭痛、認知機能の低下、麻痺、歩行障害などが出現します。慢性硬膜下血腫は、症状とCTですぐに診断をつけることができます。
 小さな慢性硬膜下血腫であれば、止血剤や最近では漢方薬の内服で治癒することもありますが、やはり大きなものであると手術治療が必要になります。とくに先ほど挙げた頭痛、認知機能の低下、麻痺、歩行障害などの症状があれば、手術が勧められます。手術は局所麻酔でおこなわれ、3cm位の皮膚切開後に頭蓋骨に小さな穴をあけ、そこにドレーンチューブを挿入して血腫を排出させます。1時間くらいの手術で、翌日あるいは翌々日にはチューブは抜くことが出来ます。
 とても多い病気であり、脳神経外科の手術の中でも最も多いです。研究もよくされていて、慢性硬膜下血腫の原因や再発のことも分かっています。慢性硬膜下血腫の発症は、頭部外傷がきっかけになっています。慢性硬膜下血腫の患者様にお話しをうかがうと、数週間から1か月前くらいのところで頭部打撲をされていることが多いです。また、高齢者、アルコールを多飲する方、血液をサラサラにするお薬を内服されている方も血腫ができやすい傾向にあります。
 
 
 段々と頭痛が強くなってきている方、もの忘れなどが徐々に出てきている方、ゆるやかなと歩行障害がある方は、一度CT検査を含めて診察をうけてください。慢性硬膜下血腫が原因となっていることがあります。